2013年12月22日

アスペルガー症候群がオキシトシン投与で改善

自閉症:ホルモン点鼻薬を投与で改善 東大臨床試験で効果 - 毎日新聞

主に陣痛促進剤として使われるオキシトシンを投与することでコミュニケーション障害が一時的な改善したとのこと。アスペルガー症候群は前頭葉の機能不全に起因すると言われているが、そこにオキシトシンがどう作用するか医学的な因果関係はよくわからないらしい。

ある特質が障害か個性かなんて時代性という偶然的な条件に規定される。アスペルガー症候群は現代特有の「障害」と言われる。知能指数が通常である点で従来型のカナー自閉症と明確に区別されるこの特質は、1944年にハンスアスペルガーにより発見されるが、当時は大戦中ということもあり、取り立てて世間的に注目を浴びるものでもなかった。ところが、重化学工業主体からサービス業主体への産業構造の転換、男女共同参画、価値観の多様化といった諸般の要素が高度コミュニケーション社会を重畳的に加速させた。心理学においてIQに対置される概念としてEQ(情動指数)という概念が一般化し、コミュニケーション能力に欠ける人間には社会不適合の烙印が容易くラベリングされる時代となった。

根本的な治療薬がないと言われるアスペルガー症候群ですが、対処療法的には西尾維新のライトノベル「少女不十分」に出てくる「不自由帳」のような発想もあるいは出てくるんでしょう。本作ヒロイン(?)である「U」は、予め定立された行為規範をロジカルに自己に適用するという点からアスペルガー的な特質が看取できる。彼女の父親は世間体を慮り、娘の特質を逆手に取り数十項目に及ぶ事細かな行動ルール集を作成することで「U」を制御する。結果、彼女は自由な感情と引き換えに「良い子」という立場をひとまずは手に入れるが、それは到底幸せな状態とはいえまい。この問題の本質は「薬がない」ではなく「居場所がない」というところにある気がします。

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タグ:医療 こころ
posted by かがみ at 04:02 | 時評/日記

2013年11月27日

HIV検査目的で献血行くのはムダだしハタ迷惑

痛いニュース(ノ∀`) : HIV感染者の血液を輸血、1人のエイズ感染を確認…献血した男性は“検査目的”の疑い - ライブドアブログ

献血する際は事前に30個くらいの質問を機械に入力しないといけないんですよ。どこどこの国に渡航したかとか。その中に、過去半年以内に新たな異性との性的接触があったか、とか同性同士の性的接触があったかなどという質問項目があります。これは輸血によるHIV感染の危険を排除するためです。

献血にいくと、後日血液検査結果が郵送されてくるので、健康管理の一環としていく人も結構多いみたいですね。けれどもHIV感染の有無については本人には通知されません。なのでHIV感染を心配し、その判定代わりに献血いくとかそういう行為はムダだしハタ迷惑なんでくれぐれも止めましょう。仮にHIVの判定がしたいなら献血じゃなくて保健所の匿名検査を受けるべき。まあこれはあまり知られていないし献血に比べてなんか敷居が高い感じがあるのでその辺の周知はもっと徹底すべきでしょうね。

それはそれとしても献血は個人が気軽にできる社会貢献だし、献血ルームはジュースやお菓子が飲み食いし放題なので暇つぶしにはもってこいです。かくいう私も最近初めて献血いったんですよ。最初は「え!?こんなぶっとい針を刺されたまま15分間も((((;゚Д゚)))))))」ってなったんですが、血を抜かれている最中は意外とキモチイイんですよね。

【日本赤十字社】寄付・献血・ボランティア|献血基準

献血の血液検査で健康管理

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posted by かがみ at 01:54 | 時評/日記

2013年11月24日

デフレという円環と少子化対策

http://anond.hatelabo.jp/20131122120414

はてブで話題になっていた2人目の子どもを産んだら500万円あげるけどその後はシラネというラディカルな少子化対策案です。

けど産んだ後はご勝手にだと、普通にネグレクトとかがかなり出そうだし、児童施設に放り込まれる子どもの数も増えるでしょう。なにより普通にリスク計算できる人はそもそも500万円ごとき端金に釣られないのでインセンティブとしてどれほどの効果があるかも疑問。政策提言というより思考実験の叩き台という感じのエントリー。

そもそもなぜ少子化対策は必要なのかというと、社会保障システムの破綻というのも正解は正解なんですが、より根本的には、少子化によって税収が減少するからです。税収の増減は名目GDPの増減に連関します。ところが他方で名目GDPが減少する要因は貨幣価値が相対的に上昇しモノが売れないというデフレにあるといわれます。

ではデフレと少子化はどのような関係に立つのか。

この点について類型的にいえば、デフレが進行し経済活動が縮小した結果の一つとして少子化が起きているという「デフレゆえの少子化」説と、少子化こそが経済活動のパイを縮小させデフレ不況の元凶となっているという「少子化ゆえのデフレ」説があります。

けれどもこれらは事象の裏表の違いを言い表しているに過ぎないんですよね。「デフレ」というのは賃金デフレとデフレ不況の円環構造になっている。デフレ不況は賃金デフレを発生させる。その賃金デフレは労働者から子どもを産み育てる余裕を奪い少子化を進行させる。そういう意味では「デフレゆえの少子化」。そして少子化が進行する結果、経済のパイが縮小しデフレ不況が進行するという意味では「少子化ゆえのデフレ」。デフレという円環が描き出される過程の中に少子化という事象があるという認識が妥当であり、少子化対策というのはこのデフレ円環に楔を打ち込む作業に他ならない。

少子化対策を福祉と考えている内は景気はよくならない : 異常な日々の異常な雑記

こうして少子化に対処するにあたっては、保育インフラの整備といった直截的な対策の他に、公共投資による有効需要の創出というデフレ不況対策、そして賃金格差の是正および労働環境の改善といった少子化の原因である賃金デフレ対策が必要となるわけです。まあ結局は、普通の人が普通のしあわせを享受できる真っ当な社会を作りましょうよというところに収斂していくんですけどね。

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タグ:家族 経済
posted by かがみ at 03:17 | 時評/日記

2013年11月23日

リフレ政策の生理と病理

借り手不足に悩む日本の銀行―資金供給量増やす政策も限界か - WSJ.com

誰でも知っている通りアベノミクス3本の矢は@金融緩和A財政出動B成長戦略です。Bは中長期的なスパンの話ですから括弧にくくるとして、短期的に見た場合問題となるのは@とAの比重でして、この点についてはアベノミクス内部でも、財政規律を重視し金融緩和をメインに据えて財政出動は補完的なものに留めるとする考え方と、あくまで金融緩和と財政出動は並列的に同時稼働させるべきという考え方があるようです。

前者はこれは金融緩和でマネタリーベースさえ増やしておけば、あとは神の見えざる手に任せておけばよいという新自由主義的な思考といえるでしょう。もとより経済停滞の原因がデフレ不況と賃金デフレの円環構造にある以上、その円環からの脱却を図らんとするリフレ政策は理論的には正しい核心があります。ただ、フィリップス曲線が示すようにインフレ率と完全雇用率が2%で連関するとしても、マネーの大半が金融資産市場に流れ込む現代経済においては単純なマネタリーベースの増加がインフレ率の上昇に直ちに結びつくとは限りません。世の中を見渡すと何となく物価が上昇している雰囲気ですが、これはあくまで円安によるエネルギー価格の高騰による物価上昇であり、インタゲにおいて真に設定すべき目標数値であるコアコアCPI(総合指数から、生鮮食品、エネルギーの価格を引いた消費者物価指数)はようやく下げ止まったばかりです。

焦点:コアコアCPI下げ止まり、「デフレ脱却宣言」残る条件は | 日銀特集 | Reuters

要するに国内の需要が改善された結果の物価上昇ではないんですよね。また、あまりの長期間デフレ不況が続いた結果、企業の投資判断も相当に慎重になっており資金需要が短期で劇的に改善される可能性は低い。現状、日銀の口座にはマネーがブタ積み状態というわけです。

民間の資金需要が期待できない以上、さしあたって政府が率先して有効需要を創出するしか無い。従って、リフレ政策が妥当だとしても、その実施に当たっては、金融緩和と財政出動の同時稼働が正解なんでしょう。デフレ期というのは国債価格が暴落しにくいという側面もあり財政出動はむしろやりやすい。確かに長期的に見れば金融緩和のみでデフレ脱却は理論上可能なのかもしれませんが、ケインズ的にいえば「長期的に見れば我々は死んでしまう」ということです。

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タグ:経済
posted by かがみ at 07:29 | 時評/日記

2013年10月21日

イデオロギーの無い時代に労働者の賃金は上がるのか

お久方振りです。またぼちぼち更新再開していこうかなと。もっとも最近はあまり長文をがっつり書く気力が無いので、当分気になったニュースに適当な一行コメント的な短文を添える形になるかもです。

経財相、賃上げしない企業「恥ずかしい環境作る」:日本経済新聞

「賃上げなしは恥ずかしい」という甘利大臣こそ恥ずかしい!

賃上げは正しいのか?甘利氏「賃金を上げないと恥ずかしい環境つくる」発言に異論多数【争点:アベノミクス】

政府サイドとしては法人税軽減とバーターでという意図なんだろうけど、企業も慈善事業でやっているわけではなし、なかなか難しいでしょうね。

社会主義っていうのは理論的には破綻しているんだけど、アンチテーゼとしての輝きは一応は持っていた。だからこそ高度経済成長期には誰しもが今日より明日はきっと良くなるという希望を持ち得たわけです。

その社会主義が雲散霧消し労働組合が形骸化してしまった今の時代においては結局はこうやって上からお願いして回るしかないんだよね。不細工な手法ではあるけれど内需が壊滅したら結局、それは企業収益に反映されるわけですからね。賢明な判断を求めたいところではあります。


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タグ:経済 労働
posted by かがみ at 03:59 | 時評/日記