【参考リンク】

現代思想の諸論点

精神病理学の諸論点

現代批評理論の諸相

現代文学/アニメーション論のいくつかの断章

フランス現代思想概論

ラカン派精神分析の基本用語集

2013年05月08日

「DAHLIA」のサウンドはもっと評価されるべき

X Japan『紅』を聴こう(異常な日々の異常な雑記)

当時のギターキッズの部屋には大体手垢まみれになった「Blue Blood」の楽譜が転がっていたわけですから、そういう意味では偉大な曲ですね。ただギターサウンド的には3rdのDAHLIAが好きでした。際限なく膨れ上がるアルバムの制作費をペイする為、完成した曲を片っ端からシングルカットして売りさばいたというかなりアレなエピソードを持つ同作ですが、サウンド面だけで言えばXJAPANの最高傑作と思う。このアルバムはHideちゃんがソロで色々実験した成果が反映されていて、当時最先端の機材だったワーミーペダルやらサスティナーやらを積極的に取り入れた面白い音がこれでもかというくらいいっぱい詰め込まれている。マスタリングの音質もずば抜けてて今聴いても音が全然古くさくない。歌詞と曲調はシリアスなのに右チャンネルからは人を食ったようなギター音が聞こえてくるという、あの妙なギャップは後期XJapanの一つの魅力だった。LASTLIVEの「紅」にしろ、そういったDAHLIA的な感じがかなり反映されているような気がします。

ゼロ年代に入ってから音楽が売れない売れないと言われる時代が今に至るまで続きますが、それはああいう風にギターで何か面白いことをやってやろうという人がでてこなかったことと決して無関係ではないでしょうね。来年はHideちゃん生誕50周年。

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posted by かがみ at 03:19 | 文化論

2013年04月30日

Ust限定配信アニメ「宮河家の空腹」はらき☆すた10周年を寿げるか。

4月最後の本日はワルプルギスの夜でしたね。「まどか☆マギカ」のモチーフともなったゲーテの「ファウスト」で描かれる魔女の集会のイメージが強いですが、そもそもの起源は春を迎える為の儀式の一つ。「ワルプルギス」と言う名称はイングランドの聖ワルプルガの名に因んだもので、ドイツ語では「ヴァルプルギス」と発声するみたい。

さて、昨日より始まった5分アニメ「宮河家の空腹」。原作は「らき☆すた」のスピンオフで、宮河ひなた・ひかげの貧乏姉妹が織りなす貧困ホームコメディ。Ust配信で配信期間は昨日一杯という何とも斬新な放映形態です。原作テーマが「勿体ない」だけあって、Webラジオも含めてかなり予算ギリギリ感のチープな空気が漂う。宮河姉妹を含め声優はほとんど新人さんを起用。ひなたさんのあの異様な語尾上げはなんんでしょうか。ひかげちゃんの声優さんはゲームから数えて3代目ですが、そりゃゆかりんや鹿野さんに頼んだらそのギャラだけで予算がぶっ飛ぶ台所事情だったのかもしれません。ネット上では「期待の斜め下を逝ってくれた感じで」「俺が期待して待ち続けた宮河家の空腹は一瞬にして爆破された」「らき☆すたがどれほど秀逸だったかがよくわかった」などの反応が見られました。

「宮河家の空腹」第1話 ヤマカンは5分アニメ監督のレベルに達してなかった(にゅうにゅうす)

ただ本作はそもそも秋に発売されるらき☆すた10巻の作品の特典DVDにつくおまけアニメ。過度な期待というのが酷でして、特典DVDの内容を小分けにして先行配信してくれてると思った方が精神衛生上宜しいです。もっともせっかくのらき☆すた10周年を寿ぐ企画だし、ヤマカン氏がその域に達した矜持の一つでも見せて頂けるのなら、それはとっても嬉しいな。

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posted by かがみ at 23:51 | 文化論

2013年04月12日

ゼロの使い魔の思い出

【訃報】ヤマグチノボル先生

ライトノベル原作のアニメというのは90年代やゼロ年代前半も皆無というわけではなかったが、まだまだ数えるくらいで、アニメ全体の中では傍流に属していた。

ところが2005年くらいから潮目がやや変わってくる。エヴァ以降、業界の主流となった製作委員会というシステムはリスクヘッジとしては効果的な手法である反面、一社あたりの回収利益は当然少ない。2000年以降、採算性の良い深夜アニメの制作がおもむろに活発化することになるのはそういう事情があったわけだが、他方で漫画原作の枯渇も深刻な問題となった。そこで着目されたのがライトノベルである。ラノベは一般小説と異なり既に認知を得たキャラクターイメージがある上、文章で物語が紡がれる以上漫画媒体に比べ原作の拘束力は相対的に弱く演出の自由度は上がるという妙味もある。そういった状況の変化の中、「涼宮ハルヒの憂鬱」「灼眼のシャナ」と並び、ラノベ作品のアニメ化という一大潮流を創りだしたのが「ゼロの使い魔」であった。

【訃報】「ゼロの使い魔」作者 ヤマグチノボル氏が逝去&業界の方から寄せられたお悔みの言葉(にゅうにゅうす)

ゼロ魔からラノベに入った人間としては実に残念です。本当に個人的な印象で恐縮ですが、正直、昔のラノベ作品群といえば無駄に難解な設定と婉曲的な表現ばかりが目に付きいわば「閉じたジャンル」という印象も当時無くは無かったが、その中にあって、ゼロ魔は飛び抜けて読みやすかった。第1巻はそんなにイラストが多いわけじゃないんですが、それこそ文章だけで持ってかれた。流麗かつ華と色気を兼ね備えた筆致で生き生きと描き出されるルイズの可愛さは破壊力満点でした。毒舌家でプライドが高く一方でコンプレックスの固まりで寂しがり屋。今でこそツンデレは萌え要素の一テンプレートに収斂した感もありますが、それはそれこそルイズの功績に負うところがかなり多いはずです。おそらく同じくゼロ魔を入り口にしてラノベの世界に足を踏み入れた人は多いはず。そういう意味で、ライトノベルというジャンル自体の地位を向上させた作家の一人であること疑いないでしょう。御冥福を祈念します。

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posted by かがみ at 00:19 | 文化論

2013年03月01日

「琴浦さん」の原作は淡々とした進行が独自の空気感を出している

原作のブラックさが薄まって魅力半減なアニメ「琴浦さん」(りきおの雑記・ブログ)

クリエイティブな領域と民主主義というのはとかく相性が悪い。初めはソリッドなアイデアだったものも、民主的な組織を経由することで角が取れて丸くなってしまう。制作委員会方式で描かれるアニメというのはある意味で民主的媒体なので、多数のステークホルダーの利害が絡み合う制作過程を経由しているうちに原作がもっていた妙味が消されてしまうということはよくある話でしょう。「琴浦さん」の原作は1巻だけ読んでみましたが、基本4コマ進行でアニメとは違う独自の空気感を出している。確かに、森谷さんの実家が新興宗教から空手道場に改変されてしまった点は、彼女の印象をだいぶ違うものにしているには否めない。そのためアニメでは、あれだけのクズっぷりを惜しげも無く披瀝しておきながら、あっさり無罪放免になってしまうところにどうしても違和感が残ってしまった。ただ、その他については原作の流れをむしろ良く汲みとっていると思いますよ。その上で、あの神憑った第1話アバンをはじめとした独自の付加価値を付けている。その点は高く評価できるでしょう。


タグ:アニメ
posted by かがみ at 05:10 | 文化論

2013年02月25日

劇場版「とある魔術の禁書目録」の先着入場特典が豪華な件

劇場版「とある魔術の禁書目録」遂に公開 豪華過ぎる特典文庫本10万3千部も話題

103000っていう数字は、言うまでもなくインデックスが記憶している魔道書の冊数にちなんだもの。

エンデュミオンっていうのは学園都市にある宇宙エレベータの名前。全く気づかなかったが、しれっとTV版にも登場していたらしい。宇宙エレベータっていうと最近じゃガンダム00ですが、そのアイデア自体は、既に100年以上前に宇宙旅行の父コンスタンチン・ツィオルコフスキーが思いついているんですね。彼によれば、赤道上から天に向って塔を建てていくと次第に遠心力が強くなり、静止軌道半径において遠心力と重力が釣り合うとのこと。長らくは空想の域を脱していなかった宇宙エレベータですが、近年、カーボンナノチューブというきわめて高い強度を有する物質が発見されたことで、実現可能性が急速に現実味を帯びてきているみたいです。

劇場版の時系列的は大覇星祭前、原作8巻から9巻の間の話。吉野さんが脚本だからかなのか、完全にマ◯ロスになっちゃっていた。作画はあまり劇場版て感じはしなかったが、オービット・ポータル社の社長室(?)のゼンマイ仕掛けとか、宇宙エレベータ内部とかの背景美術の作り込みは劇場版に相応しい美しさ。さすがにマ◯ロスだけあって宇宙エレベータ最頂部で展開されるライブシーンは圧巻でした。

ステイルの弟子らしい魔女っ子三人組は可愛かったですが、超電磁砲組は思ったより扱いが薄かったのは残念。まあ原作の美琴ちゃんの扱いも相当にアレだし、あくまで「禁書目録」の映画だし仕方がないか。一方さんに至ってはもはやゲスト出演に近い有様。とはいえ、ステイル・美琴ちゃん・一方さんが、それぞれ爆砕ボルトを破壊していく流れは昔の少年ジャンプ的な熱い展開でしたね。あと、ステイルとシャットアウラさんのカーチェイスは攻殻機動隊みたいで良かった。っていうかシャットアウラさんの部隊って完全にタチコマ部隊だよね。

シナリオは、劇場版単体で見ると、お世辞にもわかりやすいとは言えない。例えば、物語の根幹を為しているはずのゴスロリ美少女社長レディリー=タングルロードの自殺願望。軌道上にアリサちゃんを核とした巨大術式を展開することで1000年生きた彼女はめでたく死ねる(?)らしいが、その背景事情がサッパリわからないので、せっかく可愛い敵役なのに感情移入しづらい。その辺は前日譚が描かれているPSP版に丸投げというか、要するにゲーム買え、ということかね?そういう意味では、ゲームと三澤紗千香さんのプロモーション的側面がかなり占めている感はありましたね。EDの曲は良かったです。

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posted by かがみ at 01:03 | 文化論