【参考リンク】

現代批評理論の諸相

フランス現代思想概論

ラカン派精神分析の基本用語集

現代アニメーションのいくつかの断章

2014年12月12日

天使は地獄の底にこそ舞い降りる

最近、全然ラノベ読んで無くて、長々としたよくわからないタイトルの新刊群を横目で見つつ、もうこのジャンルもいいかなとさえ、思ってた昨今ですが、久しぶりに注目してみたくなった作品がこれ。

天使の3P! (電撃文庫)
天使の3P! (電撃文庫)
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KADOKAWA / アスキー・メディアワークス (2014-11-01)
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天使の3P! (1) (電撃コミックスNEXT)
水谷 悠珠
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス


タイトルの3Pはスリーポイントじゃなくて、スリーピースね、ギター、ベース、ドラムスの最小構成のバンドのこと。間違ってもそういういかがわしい意味じゃないですから。大事なことですからもう一回。スリーピース、ね。

作者は「小学生は最高だぜ\(^o^)/」の迷言で一世を風靡した「ロウきゅーぶ!」の蒼山サグ氏。またもヒロイン全員小学生という確信犯的設定。挫折に塗れた主人公が幼女と触れ合うことを通じて人生の意味を取り戻すという展開も、ロウきゅーぶと同じ物語構造。

いかにもという感じの絵柄も含めて好き嫌いは分かれると思う。ただ、ロウきゅーぶ!もそうだけど、萌えと燃えの調和の取れた文体で紡ぎ出される物語自体はかなりマトモというか、むしろその清冽さに胸を打つものがある。天使は地獄の底にこそ舞い降りるという蒼山作品を流れる通奏低音は決して嫌いではない。

もうコミカライズもはじまってるし、メディアミックス的にはアニメ化は規定路線でしょう。ロックバンド×二次元萌え美少女の方程式に一定の需要があるのは、けいおんやAngelBeatの例から明白だし、仮にアニメ化されたら覇権とは言わないけど、かなりいいセン行くんじゃないかって、あえて今から言っておきましょうか。
タグ:ラノベ
posted by かがみ at 00:09 | 文化論

2014年05月02日

貞本エヴァ最終巻は11月発売

ようやくですか、という感じ。

「新世紀エヴァンゲリオン」最終巻、描き下ろし漫画付きで11月発売 豪華な限定版も - ねとらぼ

そういえばまだ単行本出てなかったんですよね。もう連載はとうの昔に終わってるのに11月とか・・・加筆修正でもしているんだろうか?それともシンの公開スケジュールとの兼ね合いでしょうか?

貞本エヴァはただのコミカライズではない。似たような時系を追いながらキャラの陰影が庵野さんのそれと全く印象を異にする。根本の哲学が全く違うんです。「逃げたって全然いい」というのが貞本さんのエヴァ。だからあんまり悲壮感とか重苦しさとかが感じられない。みんなどことなく自然体で飄々としている感がある。個人的にあの終わり方は好き。



さて、今日はHideちゃんの命日でした。このタイミングで「もってけ!セーラーふく」をニコニコに投稿するHisashi兄。故人の偲び方も人それぞれ。明日と明後日は博多どんたくです。筥崎宮では芍薬が見ごろとか。先日オープンした文教堂JOYにいってきました。一階ウインドウにシャア専用のタオルと第三新東京市立第壱中学の制服。LOFTも変わったなあとしみじみ。
posted by かがみ at 23:59 | 文化論

2013年11月11日

LUNA SEA『SHINE』を聴こう

ナタリー - LUNA SEA、13年5カ月ぶりアルバム「A WILL」12月発売

LUNA SEAは完全にリアルタイムで聴いてましたね。当時のギターキッズでLUNA SEAをコピーした事の無い奴なんていないでしょう。ツインギターアレンジがものすごく独創的なんですよ。ふつうバンドのツインギターって演奏の足し算なんだけど、SUGIZOさんとINORANさんは掛け算になっているんですよ。アレンジ的にはSUGIZOがぐしゃぐしゃっとかき混ぜて、その間隙をINORANがきっちり押さていくという割り振りが多いんですけど、お互いの演奏を掛け合わせて曲の世界観を何倍にも広げているような作りになっているんですよね。

1998年の充電開け第2弾シングル。LUNA SEAのポップサイドが余すところ無く発揮された佳曲です。威勢のいいドラムの4カウントから始まるこの曲は基本的には昔のパンクロックのような元気の良い曲なんだけど、SUGIZOの変幻自在なバッキングワークとINORANのアルペジオがこの曲を単に勢いだけのバカパンクにしていない。

全体がツービートの縦ノリなんだけども、SUGIZOさんだけがその爆音の中を、ぬるぬる泳いで行くような横ノリ主体のバッキングワークを展開してて、そのコントラストが楽曲に複雑な位相を生じさせている。あのバッキングワークってSUGIZOさん独特のアソビをふんだんに噛ましてるから、スコアブックで見てみるとめちゃくちゃややこしい譜割になっているんだよね。

INORANが奏でるイントロのアルペジオはまさに曲名を体現するかの如き輝きに満ちた印象的なフレーズなんですけど、その基幹構成音数は驚くべき事に僅かに3音なんですよ。極限まで過不足なく音が選び抜かれており、そのセンスは天才的としか言いようがないです。

ところで、時々、音楽雑誌とかでアーティストが「グルーヴ感」なる概念をドヤ顔で宣ってますが、その意味するところはこういう速さで誤摩化せないミディアムテンポの曲を演るとよくわかるんですよ。高校生のとき、この曲バンドで合わせたことがあるんだけど、普通に譜面通り演奏しただけじゃ全然上手く行かないんだよね。すごいダラダラした演奏に聞こえてしまうんですよ。

この曲は同名のアルバムに収録されていますが、個人的にはLUNA SEAのアルバムで一番の名盤は?と言われたら迷わずこの『SHINE』と答えるでしょうね。全体としては各パートが渾然一体となったシンプルで勢いのあるバンドサウンドを聴かせつつも、各部を仔細に観察すれば随所に各人の実験精神が垣間見え、結果、何度聴いても全く飽きない奥深い作りになっている。ギターサウンドも恐ろしく生々しい仕上がりとなっており、中音域が濃厚に出た良い意味での手作り感が半端じゃない。それに歌詞も何気に良いんですよ。「I for you」の「キミに降る痛みを拭ってあげたい」という一節はもの凄く響いてくる。もっともそれはリアルタイムで聴いてた子どもの頃にはよくわかんなかったことなんですけどね。



タグ:音楽
posted by かがみ at 04:44 | 文化論

2013年11月06日

BOØWY『BABY ACTION 』を聴こう

相互して頂いている「異常な日々の異常な雑記」の管理人、煎茶さんとTwitterでBOØWYの話題になったので、久しぶりにアルバム引っ張り出して聴いてました。それでちょこっと何か書きたくなったので。タイトルは煎茶さんが楽曲評論系のエントリーで使うパターンのパクリですごめんなさい。

Boowy『Dreamin'』を聴こう : 異常な日々の異常な雑記

BOØWYは全然リアルタイムじゃないんだけど、中学生の頃、何かのきっかけでアルバム聴いて「これだ!」と思いましたね。何が「これだ!」なのかは今もってよくわからないですが(笑)これがいわゆる思春期の初期衝動というやつなんでしょうか。

1stや2ndが含み持っている初期の新宿ロフトの暗闇で蠢くようなある種のうさん臭い空気感みたいな感じも好きですが、 サウンドという点ではBEATEMOTIONで完成した感はあります。ギターアレンジが本当に煌びやかなアルバム。本当にあの時代によくここまでの音を作ったなあって思う。

けど普通に曲としては3rd収録の『BABY ACTION 』が一番好きだったりするんだよね。

ハイテンションなツービートにいかにも80年代な軽薄な歌詞。Aメロのスカっぽいカッティングとサビのテンションコード流し弾きのコントラストに布袋さんのセンスを感じます。歌って楽しい。弾いても楽しい。

やっぱりRockってカッコつけてなんぼじゃないですか? 昔、何かのスコアブックでLUNASEAのSUGIZOさんが「Rockていうのはバカバカしい事を格好良くやるもんだ」というような趣旨の言葉を言われてて、それが多分Rockの本質だと俺は思うんですけど、それができるのってやっぱり時代性っていうのと関係しているんじゃないかな。バブルの狂騒期と重なった第2次バンドブームと呼ばれるあの時代のRockにはわけのわからない自信に満ちた力強さみたいなものがありますね。BOØWYが「BOØWY以前、BOØWY以後」と語られる所以は、そういったRockの本質的な部分と、いわゆるポップと呼ばれる大衆的で普遍的な要素を高い次元において絶妙なバランスで統合する事に初めて成功した点にあるんでしょう。

完全に余談ですが私のRockは2000年くらいで終わってて、その後、心に刺さったアルバムっていうのはマジでSupercellの1stと放課後ティータイムくらいしか無いんだよね。映画けいおんの名シーンの一つにロンドンのジュビリー・ガーデンズで唯ちゃんが「ごはんはおかず」のラストに適当な英語(?)を載っけたワンコーラスを追加して絶唱する場面がありますが、あれはまさに「バカバカしい事を格好良く」ということを素でやっているわけです。


タグ:音楽
posted by かがみ at 03:01 | 文化論

2013年11月04日

ゆるやかに進んでいく「イエスタディをうたって」の世界。こういう植物系恋愛も悪くないよね。

買ってずっとほったらかしてたイスタデイをうたっての7巻読んだので、その書評というか感想。



20代の複数の男女が織りなす恋愛群像劇で、プロット的にはまあ凡庸でありふれたものなんだけど、絵画のデッサンのような作画や何気ない台詞とか背景の空気感なんかが渾然一体となって独自の世界観を構築している。

この作品、第1巻が出たの1999年で今現在やっと9巻目。思い出したように連載を再開していつの間にか休んでるみたいな繰り返しで今もゆったりと続いてる。

物語の展開自体ものんびりしてて、リクオもハルちゃんも榀子も相変わらずまどろっこしい。なんかみんなね。自分の行動に一生懸命理由をつけているんですよ。恋に対して凄いめんどくさい手続きを踏まないと次に進めないと思ってる感じ。そういう立居振舞や心理描写をひとつひとつ丁寧なタッチで描いててる。

植物系の恋愛の理想形っていうのかね?当事者だとまさにあるある感満載だろうし、傍観者的にも見ててもどかしい、だがそれがいい、っていう。こういうめんどくさい恋に共感できる人はけっこう多いと思います。

秋から冬へ移ろいゆくこの季節にぴったりの作品。居沢と杏子さんは是非くっついて幸せになってほしいんだけどね。
タグ:漫画 恋愛
posted by かがみ at 03:00 | 文化論