2014年05月12日

プラトニック不倫とかいう新ジャンル


昔の司法試験哀歌で「六法全書に『 故意』はあるけど『恋』はなし」というものがあったが、違う意味でも恋愛感情ほど法律と馴染まないものはない。不倫に関しては一応、セックスという明確なメルクマールがあると思われていたが、先月、大阪地方裁判所は、妻から夫の恋人に対する請求について、肉体関係までは認められないとしながらも、44万円の支払いを命じる判決をくだし注目を集めています。

プラトニック不倫!? 肉体関係ナシで慰謝料が発生するケースが判明

実は似たような判決は下級審ではちらほら出ているらしいです。これは要するに民法709条の不法行為における違法性の評価の問題です。この領域に置いては我妻栄博士の相関関係理論がいまだに実務レベルで多大な影響力を保持しており、その説くところによれば違法説の本質とは、法益侵害という結果無価値ではなく社会倫理規範違反という行為無価値であるとされる。こういう広汎な定義で違法性を捉えた場合、プラトニックな不倫もダメだという結論も出てくるのは決して不自然なことでは無い。例えば我が国で自然主義というジャンルを切り分けた田山花袋の「蒲団」という作品において、既婚の中年作家である主人公がヒロインの処女性に憂苦懊悩し、その様相は良くも悪くも文学的だったりするわけだが、こういうケースも相関関係理論にいわせれば社会倫理規範違反ということになるんでしょう。逆に言うと、処女のままで泥棒猫と罵倒され熾烈な泥沼裁判に引き摺り込まれるという可能性も十分にあるわけです。いずれにせよ、妻子ある殿方を一途に思い慕われるお嬢様方も世の中少なくないと思われますが、火遊びにはくれぐれもお気をつけて、というそういうお話です。

法律における理窟と人情
我妻 榮
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タグ:法律 恋愛
posted by かがみ at 01:46 | 法律関係