はてブで話題になっていた2人目の子どもを産んだら500万円あげるけどその後はシラネというラディカルな少子化対策案です。
けど産んだ後はご勝手にだと、普通にネグレクトとかがかなり出そうだし、児童施設に放り込まれる子どもの数も増えるでしょう。なにより普通にリスク計算できる人はそもそも500万円ごとき端金に釣られないのでインセンティブとしてどれほどの効果があるかも疑問。政策提言というより思考実験の叩き台という感じのエントリー。
そもそもなぜ少子化対策は必要なのかというと、社会保障システムの破綻というのも正解は正解なんですが、より根本的には、少子化によって税収が減少するからです。税収の増減は名目GDPの増減に連関します。ところが他方で名目GDPが減少する要因は貨幣価値が相対的に上昇しモノが売れないというデフレにあるといわれます。
ではデフレと少子化はどのような関係に立つのか。
この点について類型的にいえば、デフレが進行し経済活動が縮小した結果の一つとして少子化が起きているという「デフレゆえの少子化」説と、少子化こそが経済活動のパイを縮小させデフレ不況の元凶となっているという「少子化ゆえのデフレ」説があります。
けれどもこれらは事象の裏表の違いを言い表しているに過ぎないんですよね。「デフレ」というのは賃金デフレとデフレ不況の円環構造になっている。デフレ不況は賃金デフレを発生させる。その賃金デフレは労働者から子どもを産み育てる余裕を奪い少子化を進行させる。そういう意味では「デフレゆえの少子化」。そして少子化が進行する結果、経済のパイが縮小しデフレ不況が進行するという意味では「少子化ゆえのデフレ」。デフレという円環が描き出される過程の中に少子化という事象があるという認識が妥当であり、少子化対策というのはこのデフレ円環に楔を打ち込む作業に他ならない。
少子化対策を福祉と考えている内は景気はよくならない : 異常な日々の異常な雑記
こうして少子化に対処するにあたっては、保育インフラの整備といった直截的な対策の他に、公共投資による有効需要の創出というデフレ不況対策、そして賃金格差の是正および労働環境の改善といった少子化の原因である賃金デフレ対策が必要となるわけです。まあ結局は、普通の人が普通のしあわせを享受できる真っ当な社会を作りましょうよというところに収斂していくんですけどね。
