2013年11月23日

リフレ政策の生理と病理

借り手不足に悩む日本の銀行―資金供給量増やす政策も限界か - WSJ.com

誰でも知っている通りアベノミクス3本の矢は@金融緩和A財政出動B成長戦略です。Bは中長期的なスパンの話ですから括弧にくくるとして、短期的に見た場合問題となるのは@とAの比重でして、この点についてはアベノミクス内部でも、財政規律を重視し金融緩和をメインに据えて財政出動は補完的なものに留めるとする考え方と、あくまで金融緩和と財政出動は並列的に同時稼働させるべきという考え方があるようです。

前者はこれは金融緩和でマネタリーベースさえ増やしておけば、あとは神の見えざる手に任せておけばよいという新自由主義的な思考といえるでしょう。もとより経済停滞の原因がデフレ不況と賃金デフレの円環構造にある以上、その円環からの脱却を図らんとするリフレ政策は理論的には正しい核心があります。ただ、フィリップス曲線が示すようにインフレ率と完全雇用率が2%で連関するとしても、マネーの大半が金融資産市場に流れ込む現代経済においては単純なマネタリーベースの増加がインフレ率の上昇に直ちに結びつくとは限りません。世の中を見渡すと何となく物価が上昇している雰囲気ですが、これはあくまで円安によるエネルギー価格の高騰による物価上昇であり、インタゲにおいて真に設定すべき目標数値であるコアコアCPI(総合指数から、生鮮食品、エネルギーの価格を引いた消費者物価指数)はようやく下げ止まったばかりです。

焦点:コアコアCPI下げ止まり、「デフレ脱却宣言」残る条件は | 日銀特集 | Reuters

要するに国内の需要が改善された結果の物価上昇ではないんですよね。また、あまりの長期間デフレ不況が続いた結果、企業の投資判断も相当に慎重になっており資金需要が短期で劇的に改善される可能性は低い。現状、日銀の口座にはマネーがブタ積み状態というわけです。

民間の資金需要が期待できない以上、さしあたって政府が率先して有効需要を創出するしか無い。従って、リフレ政策が妥当だとしても、その実施に当たっては、金融緩和と財政出動の同時稼働が正解なんでしょう。デフレ期というのは国債価格が暴落しにくいという側面もあり財政出動はむしろやりやすい。確かに長期的に見れば金融緩和のみでデフレ脱却は理論上可能なのかもしれませんが、ケインズ的にいえば「長期的に見れば我々は死んでしまう」ということです。

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タグ:経済
posted by かがみ at 07:29 | 時評/日記