今年の憲法記念日は例年にまして憲法改正が話題となっていました。そこでふとした疑問が出てきたんですが、憲法改正規定に則れば「いかなる改正」も可能なんでしょうかね?
そもそも憲法を改正する権限、すなわち憲法改正権とは一体何なんでしょうか。かつて憲法を制定した権力である始原的憲法制定権力(制憲権)により産み出された権限なのか。それとも制憲権そのものなのか。
この点憲法改正権を制憲権から産み出された権限と考えれば、憲法改正権はどこまでも制憲権の枠組みを外れることは出来ず、憲法典の基本原理を損なう改正は不可能とされる。他方で憲法改正権を制憲権そのものだと解すれば、一見いかなる改正も可能のように見えますが、現行憲法が超国家的に存在するいわゆる天賦人権を文書化した社会契約であるとする通説的な立場からは、いかに憲法制定権力といえども全能とは言えずやはり改正には一定の限界があると理解されています。
なので例えばの話ですけど、人権の制約原理を内在的制約に限るとする「公共の福祉」から外在的制約も広く可能とする「公益及び公の秩序」に転換するような改正が果たして憲法改正の限界に抵触しないのかどうなのか。そういった疑問が理論上なくはないということです。
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