2013年04月12日

ゼロの使い魔の思い出

【訃報】ヤマグチノボル先生

ライトノベル原作のアニメというのは90年代やゼロ年代前半も皆無というわけではなかったが、まだまだ数えるくらいで、アニメ全体の中では傍流に属していた。

ところが2005年くらいから潮目がやや変わってくる。エヴァ以降、業界の主流となった製作委員会というシステムはリスクヘッジとしては効果的な手法である反面、一社あたりの回収利益は当然少ない。2000年以降、採算性の良い深夜アニメの制作がおもむろに活発化することになるのはそういう事情があったわけだが、他方で漫画原作の枯渇も深刻な問題となった。そこで着目されたのがライトノベルである。ラノベは一般小説と異なり既に認知を得たキャラクターイメージがある上、文章で物語が紡がれる以上漫画媒体に比べ原作の拘束力は相対的に弱く演出の自由度は上がるという妙味もある。そういった状況の変化の中、「涼宮ハルヒの憂鬱」「灼眼のシャナ」と並び、ラノベ作品のアニメ化という一大潮流を創りだしたのが「ゼロの使い魔」であった。

【訃報】「ゼロの使い魔」作者 ヤマグチノボル氏が逝去&業界の方から寄せられたお悔みの言葉(にゅうにゅうす)

ゼロ魔からラノベに入った人間としては実に残念です。本当に個人的な印象で恐縮ですが、正直、昔のラノベ作品群といえば無駄に難解な設定と婉曲的な表現ばかりが目に付きいわば「閉じたジャンル」という印象も当時無くは無かったが、その中にあって、ゼロ魔は飛び抜けて読みやすかった。第1巻はそんなにイラストが多いわけじゃないんですが、それこそ文章だけで持ってかれた。流麗かつ華と色気を兼ね備えた筆致で生き生きと描き出されるルイズの可愛さは破壊力満点でした。毒舌家でプライドが高く一方でコンプレックスの固まりで寂しがり屋。今でこそツンデレは萌え要素の一テンプレートに収斂した感もありますが、それはそれこそルイズの功績に負うところがかなり多いはずです。おそらく同じくゼロ魔を入り口にしてラノベの世界に足を踏み入れた人は多いはず。そういう意味で、ライトノベルというジャンル自体の地位を向上させた作家の一人であること疑いないでしょう。御冥福を祈念します。

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posted by かがみ at 00:19 | 文化論