司法試験の年間合格者数3000人という数字は今世紀初頭に画策された司法制度改革審議会の意見書を受けたものです。曰く、「国民の社会生活上の医師」としての法曹。曰く、「公共性の空間」としての司法部門。曰く、「点」による選抜ではなく、「プロセス」としての法曹教育等々…舞い踊る数々の美麗字句もいま見るとなんともむなしい限りだが、ともかくもその結果、拙速ともいうべき早さでロースクールが華やかに立ち上がり、なんだかんだで公平性だけは担保していた旧司法試験は制度の波間へ人知れず消えていった。
そしてあれから10年の月日が流れた。その間、多くの有為な人材が人生を棒に振り、司法研修所は修習生の質の低下に頭を抱え、弁護士業界は供給過多の過当競争で日々疲弊していった。一方で、司法へのアクセスは依然改善されず、それどころか将来的には、法曹の社会的地位の低下による司法権の権威の失墜すら懸念される。法律っていうのは、良くも悪くもロジック以上に権威に依存している部分があるからね。いずれにせよ、かような昨今の状況をみるに、あの「改革」とはほんとうに一体何だったんだと思わざるを得ない。
この10年で失ったものはあまりにも大きいと言わざるをえないでしょう。
弁護士ですが、ニートです。うつとのハイパースペシャルバトル
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