2015年12月01日

マイナンバーを他人に知られてはいけない本当の理由

先日、大阪府内の焼き肉店で客のマイナンバーに、肉にちなんだ「1129(いいにく)」とか「2929(にくにく)」などといった4桁が含まれていた場合、焼き肉4人前無料提供などのサービスを始めたところ、内閣官房から駄目出し・・・というか自粛のお願いがあったという事件を覚えていますでしょうか?

法的に観るとこれはマイナンバー12桁全てではなく一部の開示もダメなのかという番号法の解釈の問題となります。番号法19条は自分のマイナンバーを法律所定の場合以外に他人に提供することを禁じていますが、マイナンバーの一部も繰り返し開示すればその全部を推測できる為、一部といえどもやはり番号法上、個人番号に該当し、従って、19条の提供禁止規制に抵触するいうのが内閣官房の立場のようです。

しかし、この件で問題なのは、この焼肉屋が事前に内閣官房に問い合わせたところ、その時点では一部開示を想定してなかったのか「いいとも悪いとも言えない」という回答を出しているということです。これは「黙認する」という趣旨に取られても仕方のないことではないでしょう。行政法上の大原則の一つとして「行政機関の言動に従い行動した私人の信頼は法的に保護されるべきである」という禁反言則がありますが、この観点からいうと内閣官房の後出しジャンケン的自粛お願いは強制力を伴う処分的効果のないものといえども、やはりお粗末な対応と言わざるを得ないものがあるかと思いますね。

何が言いたいかというと、マイナンバーのシステム自体は割ときちんと制度設計されているとは思いますが、内閣官房をはじめとした当局対応はあまり上手とは思えないんですよね。なぜ提供禁止なのかという理由ひとつとってもきちんとした説明が不思議となされていない。提供禁止の理由を内閣官房コールセンターに問い合わせたら対応がしどろもどろだったみたいですし。自分のマイナンバーなんだからどうしようと勝手だろうと思う向きもあるでしょうが、おそらく提供禁止規制というのは要するに以下の理由によるものと思われます。

つまり、個人情報売買市場において取引される個人情報というのは複数の名簿から氏名や住所などをキーとして名寄せされたものなんですが、同姓同名は多いし転居で住所が異なるというケースもあるので100%正確な名寄せというのは難しい。ところが、マイナンバーをキーとすると100%正確な突合が可能となる。もちろん現時点でのマイナンバーに紐付いている情報は少ないですが、今後、民間活用により色々な個人情報とマイナンバーが紐付く可能性が高い為、こういった将来的に発生するリスクを踏まえ個人番号の提供を原則禁止とした。これがマイナンバーを他人に教えてはいけないという理由、提供禁止規制の立法趣旨だと思うんですよね(ようやくタイトル回収出来ました)。

確かに、こういうのは将来的な不確定なリスクというのは、現時点でははっきりと説明はし辛いでしょう。けど、最近耳にした凄い誤解で、マイナンバーは暗証番号のようなもので、役所で氏名と合わせて提示すれば簡単に個人情報が開示されるとかあったりしましたけど、ただむやみにダメだダメだ絶対他人みせてはダメだと、頭ごなしにいうだけでは、こういうひどい誤解を含めた社会不安を醸成するだけだと思うんですよ。

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タグ:法律 考察
posted by かがみ at 00:30 | 法律関係