衛宮士郎のケースは代償行為という防衛機制で説明できる。10年前の第4次聖杯戦争時の冬木大火災で衛宮士郎は「皆死んでしまったのに自分だけが」衛宮切嗣に「救われてしまった」。その経験は無意識層に抑圧されコンプレックスと化したことは想像に難くない。そこで「自分は自分以外の全てを救う正義の味方になる、ならなければならない」という信念を形成することで自我の安定を図った。救われてしまった代償を救うことで払うわけです。メサイヤコンプレックスは医療関係者や宗教家に多いとされますが、昏い歪な過程を経由しているだけに、その精神的基盤は思ったより脆いといわれます。結局は何かの躓きが契機となり、これまた防衛機制の作動により転じて正反対のニヒリストになってしまうことも少なくはない。まさにいまのアーチャーがそうであり、あの「理想に溺れて溺死しろ」という言葉は、メサイヤコンプレックスの成れの果ていうことなんでしょうか。
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アンソロジー
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