【参考リンク】 ラカン派精神分析の基本用語集

2016年02月21日

問題の本質は保育園が増えないということではない

いまや保育園に入れるかどうかというのは生きるか死ぬかの問題のようです。

「保育園落ちた日本死ね」と叫んだ人に伝えたい、保育園が増えない理由 | 駒崎弘樹公式サイト:病児・障害児・小規模保育のNPOフローレンス代表

潜在保育士の問題があるように、もちろん一番の理由は現場の低待遇にあるんだろうけど、記事で言っているように、待機児童の解消というのは重要な政策課題ではあるけど、必ずしも実務担当者レベルでのタスクではない。そんなことより、妙な業者を参入させて何かあったほうが問題になるわけです。あんまり規制緩和をしてしまうとこの間のバス事故みたいなことになってしまうからこのあたりは難しい判断ですが。

ただねえ、そもそも子供が0歳の時点から保育園探しに奔走せざるを得ない社会というのもどうかとも思うわけです。心理学的には3歳くらいまで母子の密接した関係が重視されます。けれども共働きでそんな悠長なことは現実問題言っていられない。育児休業給付の支給は基本1年ですし、なにより2年、3年と休職しようものならキャリアにとって致命傷となってしまう。こういう硬直した雇用構造がこの問題の根っこにあるのは言うまでもないでしょう。

ちなみに、市町村における保育園入所決定の判断は一定の客観的基準によって行われなければならない、行政法学でいうところの羈束裁量行為であり、入所決定の適法性は裁判所で争えるとされています。
タグ:法律 福祉
posted by かがみ at 22:34 | 時評/日記

2016年02月03日

パチンコで生活保護停止

別府市の福祉事務所がパチンコ屋に来ていた生活保護受給者を指導、一部の受給者には1〜2ヶ月の保護停止などの処分を行ったそうです。

パチンコで生活保護を停止した別府市の「罪と罰」|生活保護のリアル〜私たちの明日は? みわよしこ|ダイヤモンド・オンライン

福祉事務所のやったことは法律論としては明らかに無理筋でしょう。パチンコに耽るのが果たして「健康で文化的」なのかはよくわかりませんが、少なくとも建前としては違法じゃないですからね。受給者のギャンブルを直接禁じる規定は生活保護法上もちろん存在しません。別府市は、「生活保護法第60条に基づく処分」であるとしてるそうですが、「被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。」とする同条は罰則のない訓示規定なので、説明としても大雑把過ぎます。

もっとも、福祉事務所がが被保護者に対し必要な指導又は指示をしたときは、被保護者はこれに従わなければならず(62条1項)、かかる義務違反は保護の停止事由となります(同条3項)。確かに本件では対象となった生活保護利用者たちが、「遊技場には立ち入りません」という内容を含む誓約書を提出していたにもかかわらずこれを反故にしたという経緯があるようですが、福祉事務所は受給者の生活行動に何でもかんでも指導介入できるわけではないです(27条)。行政法には比例原則というものがあります。別に違法行為でもなんでもない行為を禁じるような誓約書を62条のいう「必要な指導又は指示」と解するのは比例原則の逸脱する解釈と言わざるを得ない。

もちろん、保護費を受け取るや否や即日散財してしまうような病的なギャンブル依存症の受給者にはなんらかのフォローが必要でしょう。なお、ギャンブルで得た収入は全額収入認定され、保護費減額の対象なります。10万円つぎ込んで5万円勝った場合、トータルではマイナス5万円ですが、つぎ込んだ額は考慮されずプラス5万円の収入とみなされます。そして収入の申告を怠った場合、もちろん不正受給となることは言うまでもないです。しかしながら、それとこれとは別の問題です。

毎度この手の事案では肉屋を支持する豚みたいな反応をよく見ますけど、なんでああいうことを言うのかよくわかりません。ノブレスオブリージュのかけらもない日本社会では経済成長の基盤として「どんなに失敗しても最悪、生活保護がある」というセーフティネットは不可欠です。老後が不安で皆したくもない仕事をして消耗しているような社会でイノベーションを期待するのが無理というものです。

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タグ:法律 福祉 憲法
posted by かがみ at 00:16 | 法律関係