2015年12月31日

無意識という灼熱の煉獄

年末の大掃除というのは普段いかにやっていないかという現実に直面する作業であって日頃の怠惰の帰結の前にただただ慄然とするしかないですが、その分、片付いた部屋を眺める時は物凄い達成感があるわけです。

これは心理療法においても同様なんでしょう。心理療法というのはまさにこころの大掃除であり、これまで、自我の統合性と引き換えに無意識の下に抑圧し続けていたドロドロのコンプレックスをいまさら直視しないといけないわけですから。これは絶大な痛みが伴う荊の道になる。

しかしそれでもこの無意識という灼熱の煉獄の中に腕を突っ込んで襲い来る痛みに耐え切り、奥底に潜むコンプレックスを引き摺り出した瞬間にその痛みはカタルシスへと昇華する。

成る程、素晴らしいことですが、ただ、部屋もこころも、1度にそんな大掃除をしなくてもいいように、常日頃から、こまめにお手入れしておくに越したことはないでしょう。要は汚れにくいシステムの構築しておくことが大事なのです。

大掃除の教訓を得て、とりあえず部屋にはこまめに掃除できるよう手の届く位置に雑巾を用意しました。こころにも、気軽にメンタルデトックスができるものを用意しておくことが大切なことなんでしょうね。

では、どうか皆様、良い年の瀬を( ^ω^ )

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posted by かがみ at 23:27 | 心理療法

2015年12月10日

マイナンバーを他人に知られてはいけない理由が説明されない不思議

おそらくもう、ほぼ全国すべての世帯にマイナンバーが行き渡ったのではあろうかと思われますが、送付方法として世帯一括と言うのはどうなの?と思うところではあります。たまたま受け取った人が世帯全員のマイナンバーを見ることができる立場にあるというのは、いくら同一世帯内が提供の求め制限の例外(15条)とはいえ、構成員の仲は北極よりも冷え切っている御家庭だってあるでしょうに、いささかマイナンバーの提供禁止を金科玉条のごとく喧伝している割には片手落ち感はあると言えるでしょう。

そういうわけで、もう誰でも知っているかと思いますが、番号法はマイナンバーを他人に提供(公開)することを法所定に場合に限局し、原則として禁じているわけです(19条)。内閣官房や特定個人情報保護委員会などの当局を初めいたるところでこのルールはお題目のごとく唱えられている。ところが、その「理由」、いわゆる制度趣旨の部分については不思議とまともな説明がされていない。例えば内閣官房の「マイナンバーQ&A(一般向け) 」なるPDF資料には次のように書かれています。

“Q6 マイナンバーは誰にでも提供してもいいのですか。それとも人に見られてもいけない番号ですか。”

“A6 マイナンバーは社会保障、税、災害対策の分野の手続のために行政機関等に提供 する場合を除き、むやみに他人に見せることはできません。これらの手続のためにマイナンバーを提供することができる具体的な提供先は、税務署、地方公共団体、 ハローワーク、年金事務所、健康保険組合、勤務先、金融機関などが考えられます。

マイナンバーが見られたり、漏れたりしたとしても、マイナンバーだけで手続はできませんが、個人のブログなどでご自身のマイナンバーを公表するといった ことは法律違反になる可能性もあり、絶対にしないでください。



「マイナンバーだけで手続きはできません」と言いつつ、特に理由を述べずに「絶対にしないでください」などとかなり強気な文章です。こんな風に頭ごなしにいわれて納得できる人がどれだけいるんでしょうかね?こんな子供だましみたいなペーパーはまだ許せるとしても、番号法の解説として現状最も詳細な資料の一つであろう「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律【逐条解説】」ですら、まともな記述が見当たらないというのはもう何か奇怪という印象すら受けます。

なので制度趣旨をいろいろ推し量ってみたんですが、おそらく、言いたくない、少なくとも現時点では言い辛い、というのがあるのかな?という気はしました。まず、一つは特定個人情報のジャンク市場みたいなものの形成を防止するというのがあるでしょう。個人情報売買の実務(?)に通暁してるわけではないのでかなり適当な推測ですけど、基本4情報と完全に紐付いた形での情報流出は難しくとも、不完全な形での流出というのはわりとハードルが低いのかもしれません。そういう複数のルートから入手した不完全な個人情報を名寄せしていけば、塵も積もればダイヤモンドというか、それなりに価値の高い個人情報が形成されていく。そういう名寄せが今後マイナンバーで100%正確に出来ることになる。なのでマイナンバーと氏名くらいでは何もできないかもしれないが、そういうジャンクなものもとりあえず10羽一絡げでやり取りされる市場みたいなものが形成される事態を可及的に防ぐためというのが理由の一つの気がします。ただ、こういうことをバカ正直に言ってしまうと、各省庁からそういうジャンク情報が日常茶飯事で流出してるみたいな印象を与える可能性があるから、なかなか言いづらいのではないかという気はしました。

上記の点については前の記事でも少し言及したところではありますが、別にもう一つ思いついたのが、今でも横行している免許証偽造などによるなりすましを長期的視点で可及的に防止する為、今の時点から個人番号提供禁止規制を施しているという見方。現行の免許証番号や被保険者番号は本人確認の際、普通に控えられているので、これが流出した場合、基本4情報と番号が正しく紐付いた偽造免許証などが作成できるわけですよね。免許証番号や被保険者番号をいまさら提供禁止とすることは実際問題難しいので、マイナンバーを提供禁止とした上で個人番号カードを将来的に免許証や保険証と統合してワンカード化することでこういった偽造を可及的に防止していく。そういう意図も、或いはあるのかもしれません。ただロードマップがまだまるで見えていないので、やはりこれも現状正面きっていうことは難しいということなのかもしれません。

タグ:法律 考察
posted by かがみ at 23:34 | 法律関係

2015年12月01日

マイナンバーを他人に知られてはいけない本当の理由

先日、大阪府内の焼き肉店で客のマイナンバーに、肉にちなんだ「1129(いいにく)」とか「2929(にくにく)」などといった4桁が含まれていた場合、焼き肉4人前無料提供などのサービスを始めたところ、内閣官房から駄目出し・・・というか自粛のお願いがあったという事件を覚えていますでしょうか?

法的に観るとこれはマイナンバー12桁全てではなく一部の開示もダメなのかという番号法の解釈の問題となります。番号法19条は自分のマイナンバーを法律所定の場合以外に他人に提供することを禁じていますが、マイナンバーの一部も繰り返し開示すればその全部を推測できる為、一部といえどもやはり番号法上、個人番号に該当し、従って、19条の提供禁止規制に抵触するいうのが内閣官房の立場のようです。

しかし、この件で問題なのは、この焼肉屋が事前に内閣官房に問い合わせたところ、その時点では一部開示を想定してなかったのか「いいとも悪いとも言えない」という回答を出しているということです。これは「黙認する」という趣旨に取られても仕方のないことではないでしょう。行政法上の大原則の一つとして「行政機関の言動に従い行動した私人の信頼は法的に保護されるべきである」という禁反言則がありますが、この観点からいうと内閣官房の後出しジャンケン的自粛お願いは強制力を伴う処分的効果のないものといえども、やはりお粗末な対応と言わざるを得ないものがあるかと思いますね。

何が言いたいかというと、マイナンバーのシステム自体は割ときちんと制度設計されているとは思いますが、内閣官房をはじめとした当局対応はあまり上手とは思えないんですよね。なぜ提供禁止なのかという理由ひとつとってもきちんとした説明が不思議となされていない。提供禁止の理由を内閣官房コールセンターに問い合わせたら対応がしどろもどろだったみたいですし。自分のマイナンバーなんだからどうしようと勝手だろうと思う向きもあるでしょうが、おそらく提供禁止規制というのは要するに以下の理由によるものと思われます。

つまり、個人情報売買市場において取引される個人情報というのは複数の名簿から氏名や住所などをキーとして名寄せされたものなんですが、同姓同名は多いし転居で住所が異なるというケースもあるので100%正確な名寄せというのは難しい。ところが、マイナンバーをキーとすると100%正確な突合が可能となる。もちろん現時点でのマイナンバーに紐付いている情報は少ないですが、今後、民間活用により色々な個人情報とマイナンバーが紐付く可能性が高い為、こういった将来的に発生するリスクを踏まえ個人番号の提供を原則禁止とした。これがマイナンバーを他人に教えてはいけないという理由、提供禁止規制の立法趣旨だと思うんですよね(ようやくタイトル回収出来ました)。

確かに、こういうのは将来的な不確定なリスクというのは、現時点でははっきりと説明はし辛いでしょう。けど、最近耳にした凄い誤解で、マイナンバーは暗証番号のようなもので、役所で氏名と合わせて提示すれば簡単に個人情報が開示されるとかあったりしましたけど、ただむやみにダメだダメだ絶対他人みせてはダメだと、頭ごなしにいうだけでは、こういうひどい誤解を含めた社会不安を醸成するだけだと思うんですよ。

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タグ:法律 考察
posted by かがみ at 00:30 | 法律関係