2014年02月21日

内閣法制局の憲法解釈権

このところ三味線弾くような記事ばっかりだったので久しぶりに硬い話題でも扱いますか。

【日本の解き方】首相発言は「立憲主義否定」か 内閣法制局に「憲法解釈権」なし - ZAKZAK

最近、安倍総理の集団的自衛権の憲法解釈変更発言に関連してこれは内閣法制局を軽んじるものだという議論があるようですが、内閣法制局は別に内閣から超然した独立機関でもなんでもなく、行政権内部の意見諮問機関にすぎず、内閣がその憲法解釈に縛られる法的理由は存在しません。ただ、そうはいっても内閣が変わるたび憲法解釈も右に左にころころ変わるようではこれはこれで問題です。なので法的安定性の観点から歴代の内閣法制局の意見は事実上尊重されてきたわけです。

従って仮にそれを覆すだけの堅牢な思想と論理に裏付けられた憲法解釈論を打ち出す用意と覚悟さえ首相にあれば、別段それを妨げる法理的な障害は行政権内にはない。その当否は憲法訴訟で問うのが三権分立上の筋と言えます。

ただ実際問題、憲法訴訟をやるとなると訴訟技術上の難しい問題が結構あるんですよね。現行の付随的審査制の下でただ漠然抽象的にかような憲法解釈はけしからんという訴えを起こしても、あえなく門前払い却下となるでしょう。中身が正論であろうが無かろうが、それ以前に事件争訟性に欠ける為です。だったら抽象的審査制がいいのかというと直ちにそういうわけでもないんですが、何れにせよ、内閣法制局があたかも憲法解釈の頂点に君臨するかのごとき世間的誤解が跋扈する背景は、こういった司法権に内在する事件争訟性の問題と無関係ではないでしょう。

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タグ:政治 憲法
posted by かがみ at 03:24 | 法律関係