2013年11月11日

LUNA SEA『SHINE』を聴こう

ナタリー - LUNA SEA、13年5カ月ぶりアルバム「A WILL」12月発売

LUNA SEAは完全にリアルタイムで聴いてましたね。当時のギターキッズでLUNA SEAをコピーした事の無い奴なんていないでしょう。ツインギターアレンジがものすごく独創的なんですよ。ふつうバンドのツインギターって演奏の足し算なんだけど、SUGIZOさんとINORANさんは掛け算になっているんですよ。アレンジ的にはSUGIZOがぐしゃぐしゃっとかき混ぜて、その間隙をINORANがきっちり押さていくという割り振りが多いんですけど、お互いの演奏を掛け合わせて曲の世界観を何倍にも広げているような作りになっているんですよね。



1998年の充電開け第2弾シングル。LUNA SEAのポップサイドが余すところ無く発揮された佳曲です。威勢のいいドラムの4カウントから始まるこの曲は基本的には昔のパンクロックのような元気の良い曲なんだけど、SUGIZOの変幻自在なバッキングワークとINORANのアルペジオがこの曲を単に勢いだけのバカパンクにしていない。

全体がツービートの縦ノリなんだけども、SUGIZOさんだけがその爆音の中を、ぬるぬる泳いで行くような横ノリ主体のバッキングワークを展開してて、そのコントラストが楽曲に複雑な位相を生じさせている。あのバッキングワークってSUGIZOさん独特のアソビをふんだんに噛ましてるから、スコアブックで見てみるとめちゃくちゃややこしい譜割になっているんだよね。

INORANが奏でるイントロのアルペジオはまさに曲名を体現するかの如き輝きに満ちた印象的なフレーズなんですけど、その基幹構成音数は驚くべき事に僅かに3音なんですよ。極限まで過不足なく音が選び抜かれており、そのセンスは天才的としか言いようがないです。

ところで、時々、音楽雑誌とかでアーティストが「グルーヴ感」なる概念をドヤ顔で宣ってますが、その意味するところはこういう速さで誤摩化せないミディアムテンポの曲を演るとよくわかるんですよ。高校生のとき、この曲バンドで合わせたことがあるんだけど、普通に譜面通り演奏しただけじゃ全然上手く行かないんだよね。すごいダラダラした演奏に聞こえてしまうんですよ。

この曲は同名のアルバムに収録されていますが、個人的にはLUNA SEAのアルバムで一番の名盤は?と言われたら迷わずこの『SHINE』と答えるでしょうね。全体としては各パートが渾然一体となったシンプルで勢いのあるバンドサウンドを聴かせつつも、各部を仔細に観察すれば随所に各人の実験精神が垣間見え、結果、何度聴いても全く飽きない奥深い作りになっている。ギターサウンドも恐ろしく生々しい仕上がりとなっており、中音域が濃厚に出た良い意味での手作り感が半端じゃない。それに歌詞も何気に良いんですよ。「I for you」の「キミに降る痛みを拭ってあげたい」という一節はもの凄く響いてくる。もっともそれはリアルタイムで聴いてたガキの頃にはよくわかんなかったことなんだけどね。

SHINE
SHINE
posted with amazlet at 13.11.10
LUNA SEA
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タグ:音楽
posted by かがみ at 04:44 | 文化論

2013年11月10日

扶養義務の履行は受給要件?生活保護法と行政の論理。

長野市:生活保護申請「援助前提」…親族に書面配る− 毎日jp(毎日新聞)

はてブで流れてきたニュース。まだこういう事をやっているのかと呆れるばかりですが、典型的な水際作戦なパターンですね。親戚筋にこういう通知をバラまきますよって窓口で言われたら、世間体を慮って申請を諦める人も多いでしょう。職員の方も組織の論理でやっているから生活保護法違反の有無に自覚的な人間というのは思ったほどいないんでしょうね。

生活保護は法定受託事務であり、本来的には全国一律の対応が求められるべきなんですが、現実にはこういう類いのわけのわからない有象無象のローカルルールが、全国津々浦々で色々ある。しかしながら法律による行政が基本原理ですから、生活保護法は全てのローカルルールに優先します。なるほど生活保護法4条には「民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。」とあります。けれども、ここでいう「扶養義務」とは「社会通念上それらの者にふさわしいと認められる程度の生活を損なわない限度」であり、要は「もしも余裕があったら扶養してあげてね(´・ω・`)」というその程度のレベル。そして「優先して行われる」というのは、いわゆる収入認定であって、その限度で受給額が縮減されるという意味にすぎません。本件文書のように、それ以上の義務の履行が受給要件となるかの如く誤認させる役所の言動は、生活保護法上の申請権を侵害する疑いがあると言わざるを得ないでしょう※。

※平成15年3月4日厚生労働省社会・援護局関係主管課長会議「法律上認められた保護の申請権を侵害しないことは言うまでもなく、侵害していると疑われるような行為自体も厳に慎まれたい。」

役所は常に市民の味方とは限りませんから。もし似たような事例で困っている方がいたら、泣き寝入りなんかせず、すぐにしかるべき支援団体に相談する事を勧めます。

反貧困たすけあいネットワーク

巷では一部の受給者の言動がクローズアップされて反感を買ったりもしていますけど、こういう時代、生活保護受給を怠惰なんて責める資格は誰にも無いと思うんですよ。資本主義社会である以上、結局誰かがババを引くしか無いんです。そしてグローバル経済下における要素価格均等化の濁流が齎す帰結は、あらゆる分野における「お前の代わりなど掃いて捨てるほどいる」状態の現出です。ロールズが言うところの道徳的恣意の理論を持ち出すまでもなく、格差の帰結を独り個人の自己責任と片付けるほど単純な時代ではないでしょう。ババなんか誰も抜きたくないですよ。けど誰もが明日は我が身です。大きな顔して受給者を叩いているあなたがそっち側にいられるのは本当に「たまたま」なんですからね。

生活保護法

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posted by かがみ at 01:46 | 法律関係

2013年11月06日

BOØWY『BABY ACTION 』を聴こう

相互して頂いている「異常な日々の異常な雑記」の管理人、煎茶さんとTwitterでBOØWYの話題になったので、久しぶりにアルバム引っ張り出して聴いてました。それでちょこっと何か書きたくなったので。タイトルは煎茶さんが楽曲評論系のエントリーで使うパターンのパクリですごめんなさい。

Boowy『Dreamin'』を聴こう : 異常な日々の異常な雑記

BOØWYは全然リアルタイムじゃないんだけど、中学生の頃、何かのきっかけでアルバム聴いて「これだ!」と思いましたね。何が「これだ!」なのかは今もってよくわからないですが(笑)これがいわゆる思春期の初期衝動というやつなんでしょうか。

1stや2ndが含み持っている初期の新宿ロフトの暗闇で蠢くようなある種のうさん臭い空気感みたいな感じも好きですが、 サウンドという点ではBEATEMOTIONで完成した感はあります。ギターアレンジが本当に煌びやかなアルバム。本当にあの時代によくここまでの音を作ったなあって思う。

けど普通に曲としては3rd収録のこれが一番好きだったりするんだよね。



ハイテンションなツービートにいかにも80年代な軽薄な歌詞。Aメロのスカっぽいカッティングとサビのテンションコード流し弾きのコントラストに布袋さんのセンスを感じます。歌って楽しい。弾いても楽しい。

やっぱりRockってカッコつけてなんぼじゃないですか? 昔、何かのスコアブックでLUNASEAのSUGIZOさんが「Rockていうのはバカバカしい事を格好良くやるもんだ」というような趣旨の言葉を言われてて、それが多分Rockの本質だと俺は思うんですけど、それができるのってやっぱり時代性っていうのと関係しているんじゃないかな。バブルの狂騒期と重なった第2次バンドブームと呼ばれるあの時代のRockにはわけのわからない自信に満ちた力強さみたいなものがありますね。BOØWYが「BOØWY以前、BOØWY以後」と語られる所以は、そういったRockの本質的な部分と、いわゆるポップと呼ばれる大衆的で普遍的な要素を高い次元において絶妙なバランスで統合する事に初めて成功した点にあるんでしょう。

完全に余談ですが俺のRockは2000年くらいで終わってて、その後、心に刺さったアルバムっていうのはマジでSupercellの1stと放課後ティータイムくらいしか無いんだよね。映画けいおんの名シーンの一つにロンドンのジュビリー・ガーデンズで唯ちゃんが「ごはんはおかず」のラストに適当な英語(?)を載っけたワンコーラスを追加して絶唱する場面がありますが、あれはまさに「バカバカしい事を格好良く」ということを素でやっているわけです。

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タグ:音楽
posted by かがみ at 03:01 | 文化論

2013年11月04日

ゆるやかに進んでいく「イエスタディをうたって」の世界。こういう植物系恋愛も悪くないよね。

買ってずっとほったらかしてたイスタデイをうたっての7巻読んだので、その書評というか感想。



20代の複数の男女が織りなす恋愛群像劇で、プロット的にはまあ凡庸でありふれたものなんだけど、絵画のデッサンのような作画や何気ない台詞とか背景の空気感なんかが渾然一体となって独自の世界観を構築している。

この作品、第1巻が出たの1999年で今現在やっと9巻目。思い出したように連載を再開していつの間にか休んでるみたいな繰り返しで今もゆったりと続いてる。

物語の展開自体ものんびりしてて、リクオもハルちゃんも榀子も相変わらずまどろっこしい。なんかみんなね。自分の行動に一生懸命理由をつけているんですよ。恋に対して凄いめんどくさい手続きを踏まないと次に進めないと思ってる感じ。そういう立居振舞や心理描写をひとつひとつ丁寧なタッチで描いててる。

植物系の恋愛の理想形っていうのかね?当事者だとまさにあるある感満載だろうし、傍観者的にも見ててもどかしい、だがそれがいい、っていう。こういうめんどくさい恋に共感できる人はけっこう多いと思います。

秋から冬へ移ろいゆくこの季節にぴったりの作品。居沢と杏子さんは是非くっついて幸せになってほしいんだけどね。
タグ:漫画 恋愛
posted by かがみ at 03:00 | 文化論