2013年07月28日

生活保護法の治安維持対策としての意義

生活保護費引き下げで提訴へ NHKニュース

これはまあ、やることに意義があるというか、訴訟としては残念ながら無理筋でしょう。この手のリーディングケースである朝日訴訟以来、憲法25条の謳う生存権は抽象的権利の域を脱しておらず、「健康で文化的な最低限度の生活」は政策判断を含む多義的な概念であるというのが今に至る判例の流れなので、真っ向からがっつり憲法訴訟をやるとなると現状どうしても分が悪いと言わざるを得ない。

申請の様式行為化や不正受給の厳罰化などを盛り込んだ生活保護改正案は、政局の妙な流れのドサクサで廃案になりましたが、保護費切り下げは行政レベルの政策課題なので予定通り粛々と行われるわけです。インタゲやるよとか言いながら、生保はこれからだんだん下げますよというのが何とも意味不明です。

「生活保護は恥」というケチ臭い価値観が、「見えない貧困」を生み出す - ihayato.書店

ネット上で多数の「正義の味方」がナマポ叩きに熱狂するという絵図はもはや常軌を逸している感があるが、福祉制度というのは裏面として治安維持対策を持っていますからね。国家の治安維持というのは、社会契約としての公共の福祉を維持する為の政府の最低限の任務であることはいうまでもない。その際たるは刑法の執行ですが、刑務所に放り込めるのは犯罪が起きた後ですよ。司法権というのは事件があった後にしか発動しない。けど何かあってからじゃ遅いだろ。福祉や教育といった制度は犯罪が起きにくい社会を作るという意味では真っ当な治安維持対策。表層的な正義を語る前に、その辺りをもっと考えるべきなんでしょうけどね。


タグ:福祉 憲法
posted by かがみ at 02:34 | 法律関係

2013年07月25日

岩波書店が六法全書の刊行を終了

岩波書店、六法全書の刊行終了 ネットの普及や需要低迷で - 47NEWS(よんななニュース)

法律の条文なんていまやググレカスの最たるものだからね。時代の必然です。むしろ遅すぎるくらい。

もっとも六法全書といえば有斐閣の方が有名ですが、いずれにせよ六法全書なる書物は長らく法律学の権威の象徴として世間に君臨してきた。法律学っていうのは割と権威に寄りかかった学問なんですよ。ある論点につき、判例・通説・有力説・少数説があるとする。では「有力説」とは何かというと有力な学者が支持している説とかだったりする。では「有力な学者」とは何かというと「有力説を唱えている人」などというトートロジーが平気でまかり通るステキな世界なんですよあそこは。だから司法権の世間的権威の源泉にしたって、突き詰めていけば、法律家は苦節何年の旧司法試験を突破した人という「美談」にあったりする。そういうある意味馬鹿馬鹿しい浪花節が三権分立システムの後景には確実にあった。

元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記 「増員」に寄りかかる需要増の幻想

大学生(とくに法学部生)は、激怒していいと思う。|福岡の家電弁護士 なにわ電気商会

それが果たして理論的に良いのかどうかは一つの論点なんでしょうけど、少なくとも言えるのはロースクールはそれに匹敵する物語を残念ながら作れなかったということです。それは長い目でいえば司法権の権威の低下を招き、三権分立のバランスを崩すという統治機構上の由々しき問題を孕むことになる。その観点からいえば「点による選抜」か「プロセス教育」か、などという二項対立というのは畢竟、枝葉の議論ということです。供給が増やせば需要も勝手に増えるとか一体どこの古典派経済学なんでしょうか。


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posted by かがみ at 01:49 | 法律関係